堂場瞬一「ミス・ジャッジ」

ミス・ジャッジ

ミス・ジャッジ

メジャーデビューを果たす橘由樹が登板する開幕戦、大観衆の見守るなか、
ヤンキースレッドソックスの激闘が展開される。
大リーガーとなった日本人投手と日本人初の審判員との確執を描く長編野球小説

初めて読む作家だったので、不安なまま読み始めたんですが
試合の場面などリアリティがあり、なおかつスピーディーで、
とっても面白い作品に仕上がっています。
登場人物も、現役の選手名は架空なんですが、歴史の名を残す選手たちや
球団名、球場などは実際にあるものを使ってるので、
さらに臨場感溢れる展開になっています。
こういう話しの場合、ヒーロー(主役・投手)対ヒール(悪役・審判員)というのが
よくあるパターンなんですが、この作品はその両者ともがトラブルメーカー。
「おいおい、キミは主人公なんだから、そんなことしたらアカンやろ」と
読んでる読者の方が心配して、ハラハラしてしまうほどでした。
※このあと、ネタバレあり
ただ、この審判員が日本を追われて逃げてきた理由が、
ギャンブルにはまり、借金取りを殺してしまったという、やや陳腐な印象。
さらに、やたらと「もう時効だから…」というセリフがあるが
海外に逃げている場合は、時効が延長されるはず。
その点が納得いきませんでした。
3.5点(5点満点)