小島達矢「ベンハムの独楽」

ベンハムの独楽

ベンハムの独楽

ふたつの肉体にひとつの魂、五分先の未来が見える災い、
本を読むと腹が満たされる青年、グロテスクな双子の仕打ち、
嘲笑に満ちた大人の仕打ち、雨が呼び覚ます記憶、
甘酸っぱいキャンパスライフ……。
九つの世界は様々な姿を見せながら、つながり、まわりつづける。
ひとり選考委員の荻原浩氏も幻惑された、恐るべき新人の魔術。

「弱冠22歳の…」「新人作家の…」という言葉を意識すると
なるほど達者でうまいものだと感心させられますが
そんな冠を取ってしまえば、意外と普通の短編集。
たしかにバラエティに富んではいますが…。
小説とはいえ、電車の中で携帯電話で通話し
マナー違反ではあるが犯罪ではない…と言ってしまうところなど
ちょっと作風も好きになれなかったかも。
今年34冊目/3点(5点満点)