真保裕一「デパートへ行こう!」

デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)

デパートへ行こう! (100周年書き下ろし)

所持金143円、全てを失った男は
深夜のデパートにうずくまっていた。
そこは男にとって、家族との幸せな記憶がいっぱい詰まった
大切な場所だった。
が、その夜、誰もいないはずの店内の暗がりから
次々と人の気配が立ち上がってきて…。
一条の光を求めてデパートに集った人々が
一夜の騒動を巻き起こす。

映画でいうグランドホテル形式(※)を取り入れた小説。
ヘタな人が書くと、たいへんなことになりそうですが
そこは真保さん、キャラが立っているので読みやすい。
ただ終盤、あまりにもドタバタしすぎたように感じましたねえ。
ラストはなかなか見事な着地点でした。
わたしの子供の頃も、家族揃ってお出かけというと
ヨソイキを着て、百貨店へ行くことが多かったっけ。
大食堂や屋上の遊具が楽しみでした。
※同一時間及び同一の場所に集まった複数の人物の行動などを
 同時進行的に一度に描く作品の手法の事
今年97冊目/3点(5点満点)