京極夏彦「厭な小説」

厭な小説

厭な小説

「厭だ。厭だ。厭だ―」感情的パワハラを繰り返す
馬鹿な上司に対する同期深谷
呪詛のような繰り言にうんざりして帰宅した私を
マイホームの玄関で見知らぬ子供が迎えた。
山羊のような瞳。左右に離れた眼。見るからに不気味だ。
なぜこんな子が、夫婦二人きりの家に?
妻はその子の存在を否定した。幻覚か?怪訝に思う私。
だが、これが底なしの悪夢の始まりだった…(「厭な子供」より)。
「恐怖」と「異なるもの」を描き続ける
鬼才が繰り出した「不快」のオンパレード。
悪寒、嫌悪、拒絶…あらゆる不愉快を詰め込んだ
日本一のどんびきエンターテインメント。

450ページを越える分厚さながら
思いの外サクサク読めるのは、やはり京極さんの
ストーリーテリングのうまさでしょう。
中でも「厭な彼女」は面白かっ…厭だったなぁ。
ちなみに先日紹介した、この本の装幀も凝っていますが
ページをまたがって文章は続けない
著者のこだわりも活かされています。
今年63冊目/3.5点(5点満点)