奥田英朗「オリンピックの身代金」

オリンピックの身代金

オリンピックの身代金

著者の新境地にして最高傑作!
激動の「昭和」を描いたサスペンス大作。
昭和39年夏、オリンピック開催に沸きかえる東京で
警察を狙った爆発事件が発生した。
しかし、そのことが国民に伝わることはなかった。
これは一人の若者が国に挑んだ反逆の狼煙だった。
著者渾身のサスペンス大作!

著者3年ぶりの長編小説らしい。
オリンピックや野球ばかり見て遊んでいたんだと思っていたら
(雑誌「Number」のコラム、面白かったです)
ちゃんと取材や執筆をしていたんですね。
オリンピックという国家的イベントを前にした国民の熱気と
それを守ろうとする刑事たちの執念が
昭和39年という時代背景と絡み合って面白かったです。
ただ、ラストがちょっとあっけなかったかな。
途中の雰囲気が、黒澤明の傑作映画「天国と地獄」を思い出させたんですが
本文の中にも、この設定の前年に封切られたと書かれていました。
上の出版社のコメントでは「最高傑作」とありましたが
私的ベストは「サウスバウンド」です。
4点(5点満点)