連城三紀彦「造花の蜜」

造花の蜜

造花の蜜

造花の蜜はどんな妖しい香りを放つのだろうか…
その二月末日に発生した誘拐事件で
香奈子が一番大きな恐怖に駆られたのは、それより数十分前
八王子に向かう車の中で事件を察知した瞬間でもなければ
二時間後犯人からの最初の連絡を家の電話で受けとった時でもなく
幼稚園の玄関前で担任の高橋がこう言いだした瞬間だった。
高橋は開き直ったような落ち着いた声で、「だって、私、お母さんに…
あなたにちゃんと圭太クン渡したじゃないですか」。
それは、この誘拐事件のほんの序幕にすぎなかった―。

雑誌「幻影城」を読んでる時に、連城さんがデビューして
その頃に何作か読みましたが、それ以来になるでしょうか。
なるほど、これが「連城マジック」なんですね。
一瞬のうちにポジがネガになり、
ネガだと思ってたら、いつのまにかポジになってます。
よく練られ、よく考えられたストーリーですねえ。
最終章が不要だという意見もあるようですが
わたしはあった方がいいように思います。
4点(5点満点)