坂木司「夜の光」

夜の光

夜の光

本当の自分はここにはいない。
高校での私たちは、常に仮面を被って過ごしている。
家族、恋愛、将来……。
問題はそれぞれ違うが、みな強敵を相手に苦戦を余儀なくされている。
そんな私たちが唯一寛げる場所がこの天文部。
ここには、暖かくはないが、確かに共振し合える仲間がいる。
そしてそれは、本当に得難いことなのだ。

地味ぃ〜な話ながら、全編に流れる空気感のようなものに
たいへん好感が持てる作品でした。
どの話もそれぞれに謎が提示されるんだけど
それも派手さはないものの、シンプルで効果的。
気になったのは、話が変わるごとに語り手も変わるのに
冒頭のモノローグの世界観が示し合わせたように同じ。
これって不自然じゃないんでしょうか?
男子2人の口癖も、さすがに最後の方はちょっとしつこかったかな。
でも面白かったですよ。
4点(5点満点)