雫井脩介「犯罪小説家」

犯罪小説家

犯罪小説家

新進作家、待居涼司の出世作『凍て鶴』に映画化の話が持ち上がった。
監督に抜擢された人気脚本家の小野川充は
『凍て鶴』に並々ならぬ興味を示し、この作品のヒロインには
かつて伝説的な自殺系サイト〔落花の会〕を運営していた
木ノ瀬蓮美の影響が見られると、奇抜な持論を展開する。
待居の戸惑いをよそに、さらに彼は
そのサイトに残された謎の解明が映画化のために必要だと言い
待居を自分のペースに引き込もうとしていく。
そんな小野川に、待居は不気味さを感じ始め―。
全篇に充ちた不穏な空気。好奇心と恐怖が交錯する傑作心理サスペンス。

ゾクゾクするような、良くいえば真綿で首を締められるような展開ですが
ちょっと中盤が冗長に感じるひともいるのでは。
ただ「凍て鶴」と「落花の会」の結びつきがあまりにも独断的で
そこに不自然さを感じちゃいました。
上の出版社のコメントにもあるように小野川充の「奇抜な持論」だけなら
思い込みで済まされるんでしょうが。(あ、ちょっとネタバレか?)
重箱のスミをつつくようで申し訳ないんですが
クライマックスで出てくる新聞のノンブル(ページ数)の部分
36、35、34…と連続して目印に使っていますが
「36」のウラが「35」、「34」のウラが「33」になるはず。
まさか、新聞を2部も用意していったのか?
そんなはずもないので、やたらと気になりました。
3.5点(5点満点)