桜庭一樹「私の男」

私の男

私の男

お父さんからは夜の匂いがした。
狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。
暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、
美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂『私の男』

話題の直木賞受賞作。
桜庭さんの本は、前回の直木賞候補にもなった
赤朽葉家の伝説」を読んで、あまりの面白さにビックリしたんですが
この作品は、ダークでパワフルなイメージと
全体の構成のうまさに感心してしまいました。
ただ、「本屋大賞」の候補にもなっていますが
誰にでも薦められる作品ではないかな。
嫌悪感を持つ人もいっぱいいることでしょう。
先日読んだ「桜庭一樹読書日記」(東京創元社)の中に
ちょうど、この作品を執筆してる頃の日記もありましたが
このインモラルな世界に入るまでの
作者のタイヘンさがよくわかり興味深いものでした。
3.5点(5点満点)