小路幸也「カレンダーボーイ」

カレンダーボーイ

カレンダーボーイ

1968年…。三億円強奪事件をきっかけに、
一家心中で亡くなったクラスのアイドル里美ちゃん。
寝て起きたら過去と現代を行き来する《ぼくら》は、彼女を救えるのか?
火事にあった担任の先生、売れっ子少女漫画家の姉、浮気相手の女性…。
過去を変えることで生じる「歪み」に翻弄されながら、
それでも救いたい、過去のあの子と現代の家族。

「お!小路さんの新境地か?」と思ったものの
ベースにあるのは、まぎれもなく小路さんの世界。
現実の事件を扱いながらも
リアルに描くのではなく、あくまで人物中心の物語。
ノスタルジック・ファンタジーとでも呼べばいいのか?
主人公たちの年齢が、わたしとほとんど同じなのも
共感できた原因でしょう。
3.5点(5点満点)