北村薫「1950年のバックトス」

1950年のバックトス

1950年のバックトス

一瞬が永遠なら、永遠もまた一瞬。
過ぎて返らぬ思い出も、私の内に生きている。
秘めた想いは、今も胸を熱くする。
大切に抱えていた想いが、解き放たれるとき――
男と女、友と友、親と子、人と人を繋ぐ人生の一瞬。
「万華鏡」「百物語」「包丁」「昔町」
「洒落小町」「林檎の香」など、
謎に満ちた心の軌跡をこまやかに辿る二十三篇。

あらためて作者のウマさを感じさせられる作品集でした。
日本語の奥の深さをサラッとした表現で伝えてくれます。
昨日のコメントで「ちょっとコワイ系の話」と書きましたが
それは前半だけで、後半はバラエティに富んだ内容。
うしろの「初出一覧」を見ると
掲載誌によって違うようですね。
「真夜中のダッフルコート」や「洒落小町」で笑いころげ
表題作や「ほたてステーキと鰻」でホロッとさせられ…。
タイトル「1950年のバックトス」というのが
読む前は意味がわからなかったせいか
実はあんまり期待しないでいたんだけど
良い意味で裏切ってくれました。
4点(5点満点)