森見登美彦「有頂天家族」

有頂天家族

有頂天家族

時は現代。
下鴨神社糺ノ森には平安時代から続く狸の一族が暮らしていた。
今は亡き父の威光消えゆくなか、
下鴨四兄弟はある時は「腐れ大学生」、ある時は「虎」にと様々に化け、
京都の街を縦横無尽に駆けめぐり、一族の誇りを保とうとしている。
敵対する夷川家、半人間・半天狗の「弁天」、
すっかり落ちぶれて出町柳に逼塞している天狗「赤玉先生」――。
多様なキャラクターたちも魅力の、
奇想天外そして時に切ない壮大な青春ファンタジー

いやぁ、奇想天外荒唐無稽なお話を堪能いたしました。
たいへん楽しかったです。
前作(前々作になるのか?)「夜は短し恋せよ乙女」の時にも感じたことだし、
今回も読んでる途中のコメントに書きましたが
わたしは、いまは宝塚に住んでおりますが、根っからの京都人。
なので、出てくる場面出てくる場面、
どこも風景が眼に浮かんで臨場感いっぱいだったので
京都をあまり知らない人より、もっと楽しめたんじゃないかと思います。
たとえばクライマックスで、偽叡山電車寺町通りを南下して
丸太町を渡り、アーケードのある寺町商店街に突っ込むあたり。
そのままのスピードで三条通りに差しかかると
そこから寺町通りは少し右にズレているので、
曲がる時に看板や放置自転車をなぎ倒し…という場面がありました。
どのくらいの道幅で、どのくらい右にズレていて
その時間ならどの程度の人出で、角にはあの店やこの店が…
…とわかるだけに余計にドキドキしたもんです。
森見さんはいっぱい読んでるようでいて「夜乙」についで、これが二作目。
でも、いままででイチバン面白いんじゃないでしょうか?
4点(5点満点)