奥野修司「心にナイフをしのばせて」

心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて

高1の少年が同級生の首を切り落とした驚愕の事件。
息子を無残に殺された母は地獄を生き、犯人は弁護士として社会復帰していた。
大宅賞作家が、28年前の「酒鬼薔薇事件」を追跡する。

たしか、本の帯にも上のようなコピーが書かれていたはずですが
本の内容のほとんどは、被害者遺族の事件後の状況が
おもに被害者の妹のモノローグというカタチで語られます。
加害者少年の軽率な(という言葉では軽々し過ぎますが)行動が
こんなにも遺族の人生をもズタズタにしてしまうなんて…。
ただ、モノローグという構成上、仕方がないのかもしれませんが
同じ話が二度三度と出てくるのが、ちょっとマイナス。
最後の章になって、ようやく加害者が登場するんですが
そのインパクトたるや相当なもの。
この部分をもっと掘り下げて読みたかったと思うのは
わたしだけではないはず。