宮部みゆき「楽園」

楽園 上

楽園 上

楽園 下

楽園 下

模倣犯」事件のショックを引きずるフリーライター・前畑滋子のもとに
12歳で死んだ少年に関する不思議な調査依頼が舞い込んだ。
少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、
それを絵に描いていたという…。
少年の目には何が見えていたのか。少女の死は何を残したのか…。
少女殺害事件の関係者たちに話を聞いていくうちに、
滋子は少女の背後にいた人物の存在に気づく。
子を想う親の愛の形を問いかける物語。

前作(と言っていいのか?)の「模倣犯」より、かなり地味な展開とはいえ
全編に作者のあたたかさ、優しさがイキイキとした登場人物を通して描かれ
最後まで心地よく読むことができました。
ラストもいろいろ意見があるようですが、わたし的には満足。
これだけの話を破綻なくまとめるあたりは、もう職人芸でしょう。
ただこの本の装幀はいただけませんねえ。
もうちょっとなんとかならないものか…。
4点(5点満点)