貫井徳郎「夜想」

夜想

夜想

事故で妻と娘を喪い、絶望の中を惰性で生きている主人公・雪籐。
ひとりの女性に出会ったことで動き始める彼の運命は……。
ミステリーの手法を通じて“絶望と救済”を描き続ける著者の、畢生の傑作。

微妙なバランスの上に成り立つ物語…という印象。
主人公たちの「心」のバランスもそうだし、
宗教なのか否か…というのもとても微妙なところだし、
この本の評判自体も、好評不評あいまって微妙なバランスです。
わたし個人としてはとても面白く読めました。
デビュー作「慟哭」が、あまりにも衝撃的だったので
それ以降の作品は、どうしても比べてしまうと
物足りなく感じることが多かったのですが
そういう意味ではひさしぶりの佳作でしょうか。
ラストも、わたしは肯定派。
4点(5点満点)