藤原伊織「ダナエ」

ダナエ

ダナエ

表題作「ダナエ」は美術界を舞台にした物語。
画家の宇佐美は個展に義父をモデルにした肖像画を出品しますが、
会場で何者かに硫酸をかけられ、ナイフで切り裂かれてしまいます。
その事実を知った宇佐美がとった意外な行動とは?
ギリシャ神話「ダナエ」とレンブラントの絵「ダナエ」に着想を得たこの作品は、
事件の謎解きが進むうちに、男女関係の美しさとやるせなさを感じさせ、
不思議な魅力を醸し出します。
他の2篇、「まぼろしの虹」と「水母(くらげ)」も読み応え充分。

さすがに深い作品ばかり。
それだけに長編で読みたい話でしたね。
表題作の「ダナエ」より、短編2本の方が印象に残りました。
3.5点(5点満点)