重松清「小学五年生」

小学五年生

小学五年生

18篇からなるショートストーリーの主人公は、すべて小学5年生。
しかも“男子”です。
父親を、祖父を、友人を亡くした、
また、親の離婚や転校で行き場のない寂しさに苛まれる少年たち。
人の死や生き別れで、否応なく孤独を感じることになった少年が、
どう暮らし、何を考え、感じているのかを、
折々の四季を通じて描いています。

さすがに巧くて器用な作家。
ピンポイントで小学五年生の男の子を描いています。
四年生でもなく、六年生とは違う…。
そこのところが絶妙に感じられました。
逆に四年生というテーマでも、六年生というテーマでも
重松さんなら描ききることができそうですね。
ただ、いずれの話も短すぎて、物足りない。
そこがもったいなかったなぁ。
もうすぐ重松さんの「カシオペアの丘で」という小説が
著者初の上下巻で出るようです。
今度は長い話。期待しましょ。
3点(5点満点)