石持浅海「顔のない敵」

顔のない敵 (カッパ・ノベルス)

1993年、夏。カンボジア。
NGOのスタッフたちが地雷除去を続ける中、突然の地雷の爆発音が轟いた。
これは、純然たる事故なのか? 表題作を含め、
「対人地雷」をテーマにしたミステリー6編と、処女作短編を収録。
＊
いろんな角度から「対人地雷」に焦点をあてて
なおかつ、どの話も純粋な謎解きになっていることに驚きます。
登場人物も、前の話の脇役があとの話の主役になるなど
サイドストーリーとしても読める構成。
著者は表題作「顔のない敵」がお気に入りのようですが
わたし個人的には「トラバサミ」が好み。
現実的じゃないかもしれないけど、ロジックが冴えていました。
最後の1話は実質的なデビュー作で、これのみ地雷がらみではありませんが
石持さんは最初からロジックにこだわっていたんですね。
ただ、この本、タイトルも装幀もあまりにも地味過ぎる。
内容がいいだけに、もう少し工夫した方が…。
3.5点（5点満点）