坂木司「シンデレラ・ティース」

シンデレラ・ティース

シンデレラ・ティース

じっと我慢していても、夏は動かない。歯も治らない…。
個性豊かなデンタルクリニックのスタッフと、
訪れる患者さんたちがそれぞれに抱えている、小さいけれど大切な秘密。
都心の歯科医を舞台にした、ひと夏の青春小説。

前作の「切れない糸」でもクリーニング屋が探偵という奇抜な設定で
実に鮮やかに事件を解決してくれた作者ですが、今回は歯医者が舞台。
なるほど、こういう設定もありですねえ。
正直、とびきりの魅力溢れる謎や事件ではありませんが
この歯科医院のキャラクターが、話をグッと盛り上げています。
わたしも歯医者が苦手ですが、こんなところなら行ってみたいかも。
この小説の続編も読みたいですが、主人公の親友が同じ時期に
バイト先の沖縄で経験した「裏話」も本になるようで
これもまた読んでみたいもんです。
ところでこの作者、司というから勝手に男性だと思い込んでいたんですが
実に細やかな描写からして女性なんでしょうか?
よく考えると、司さんなら女性でも全然おかしくありませんでしたね。
4点(5点満点)