大崎梢「晩夏に捧ぐ〜成風堂書店事件メモ(出張編)」

元同僚の美保から、杏子のもとに一通の手紙が届いた。
勤務先の宇都木書店、通称「まるう堂」に幽霊が出るようになり、
店が存亡の危機に立たされている、
ついては名探偵のアルバイト店員を連れて助けに来い、というのだ。
杏子は気が進まぬながら、多絵を伴って信州の高原へと赴く。
そこで待ちかまえていたのは、四半世紀ほど前に弟子の手で殺されたという
老大作家の死に纏わる謎であった…!

「配達あかずきん」で好評を博した著者のシリーズ第2作。今回は長編です。
仕事の覚えは早いが手先がぶきっちょ、絵を書かせたらなにがなんだか…
という「天然系」の名探偵・多絵が快刀乱麻、謎を解くさまは痛快。
ストーリーの中にも随所に、本屋の裏話がちりばめられていて
本好き、本屋好きは、にんまりと微笑むことでしょう。
ただ個人的には、この作者には血みどろの殺人の謎というのは
不似合いなんじゃないでしょうか?
ほのぼのとするような身近な謎の方が合っていると思われます。
そういう意味では、いま準備されてるという第3作は
また短編集ということなので、期待できそうです。
3点(5点満点)