湊かなえ「告白」

告白

告白

「愛美は事故で死んだのではありません。
このクラスの生徒に殺されたのです」
わが子を亡くした女性教師が
終業式のHRで犯人である2人の少年を自ら裁いた−。
ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から
それぞれ語らせ真相に迫る。
選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、
伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。

第29回小説推理新人賞をこの本の第一章「聖職者」で短編として受賞。
その後、短編をベースに、ふくらませて長編にするのではなく
第二章以降を書き足して長編にしたようですね。
なるほど、第一章だけでも短編として完成しているし
その後の話もひとつの事件をいろんな視点から見ることによって
物語が反転して見えたり…凝った構成になっています。
たいへん面白く読ませてもらったし
興味深く、考えさせられるテーマではあると思うのですが
ここまで殺伐としたり、
ラストもここまで派手にする必要はなかったのでは。
もう少し救いのあるエンディングが読みたかったなぁ。
4点(5点満点)